無料の動画編集ソフトAviutlの導入・設定・使い方
フリーウェアのWindows用動画編集ソフトAviutl(えーぶいあいゆーてぃる)。ただ初めての方には少々導入や設定が複雑なので,できるだこの記事だけで完結するように適当シンプルに解説しておく。
更新履歴 見出しにジャンプ
日時 | 内容 |
---|---|
2018-02-23 |
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2018-02-12 |
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2020-02-05 |
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特徴 見出しにジャンプ
良い点
- 無料の動画編集ソフト
- プラグインが優秀
- 世界的に有名なrigaya氏の書いたエンコードプラグインが使用できる
- インターレースに対応している
微妙な点
- 導入が難しい
- 使えるメモリが少ない・多く割り当てても安定しない
- 編集時(エンコード以外)ではGPU支援が効かない(Davinci Resolveを使いましょう)
※殆どカット編集などをせず、自動処理で動画形式を変換したり容量を削減するだけの場合や、変態にはffmpegが向いている。ffmpegについては下記の記事を参考にして欲しい。
http://nyanshiba.hatenablog.com/entry/2018/02/03/071256
用語解説 見出しにジャンプ
用語 | 解説 |
---|---|
Aviutl | その名の通り、本来はavi形式の映像ファイルを扱うユーティリティ。本体もプラグインも32bitで作られている。 |
プラグイン | デフォルトでは他の形式に対応していない為、入力プラグインや出力プラグインを入れることでmp4等でエンコードしたり、IntelのCoreシリーズ等で使えるハードウェアエンコード:QSV(quick sinc video)を使用出来るようになる。 |
エンコード | データを一定の規則に基づいて変換すること(圧縮とか)。符号化。 |
デコード | エンコードされたデータを元に戻すこと(再生する時とか)。対:エンコード |
ハードウェアエンコード | エンコードする際に,その処理に特化した物理ICチップ等を用いる方式。QSV等。対:ソフトウェアエンコード |
解像度 | ドット数。1920x1080とか1280x720とか言うじゃん? |
アスペクト比 | 縦横の比。アナログ放送は4:3だったがデジタル放送(厳密に言うと地デジは1440x1080の4:3の映像を16:9に引き伸ばしている)や最近の一般的な動画は16:9。 |
ビットレート | 単位時間あたりのデータのビット数(量)。映像の場合値が大きいほど鮮明かつ滑らかになるが,ファイルサイズが大きくなる。逆に値が小さいほど荒くブロックノイズやホワイトノイズが出るようになるが、ファイルサイズを削減できる。解像度が低くてもビットレートが高ければ、解像度が高くビットレートが低い動画ファイルより品質が高くなる場合もある。 |
フレームレート | 一秒あたりのコマ数。30fpsがよく使われ,24fps未満だとカクつく。 |
コーデック | エンコードするソフトウェアのこと。 |
コンテナ(フォーマット) | データの格納方式。入れ物のようなもの。wavとかaviとかMPEG-2 TSとかmp4とか。 |
インターレース | 画素の記録や描画を端から順に行う(プログレッシブ)のではなく,飛び飛びに行うことで低速回線でも素早く(ただしぼんやりした)全体像を伝えられる。テレビ放送や一部のビデオカメラで使われている。デコード時やエンコード時にインターレース解除をしないと,縞々の映像になってしまう。1080iのように表記する(プログレッシブなら1080pとか) |
バイナリ | PC上のファイルのこと。 |
用意するもの 見出しにジャンプ
- 出来ればintelで言うとCoreシリーズ以上のCPU。動画編集にはCPUのパワーが主に使われるからだ。
- メモリは8GB〜(せめて4GB〜)。
- ストレージはSSDがおすすめ。動画ファイルはモノによるがファイルサイズが肥大することが多々あるので、MLCかTLCでもキャッシュ周りが強いものを選ぼう。
http://nyanshiba.hatenablog.com/entry/2018/01/16/021634
- やる気
- 電気(ソフトウェアエンコードの場合はかなり使います。)
環境構築 見出しにジャンプ
ダウンロードとインストール 見出しにジャンプ
- 管理者権限が必要のないCドライブ直下等にAviutlフォルダと保管用フォルダ、計2つの空フォルダを作成。出来れば日本語やスペースが混ざってない方が良い。
- http://spring-fragrance.mints.ne.jp/aviutl/からaviutl100.zip(Aviutl本体)とexedit92.zip(拡張編集プラグイン)をDLして保管用フォルダに解凍
- http://pop.4-bit.jp/?page_id=7929からL-SMASH Works r921(入力プラグイン)をDLして保管用フォルダに解凍
- 以下の通りにフォルダに配置
AviUtl
┣Plugins
┃┃(L-SMASH_Works_r921_plugins.zip)
┃┣lwcolor.auc
┃┣lwdumper.auf
┃┣lwinput.aui
┃┗lwmuxer.auf
┃(aviutl100.zip)
┣aviutl.exe
┃(exedit92.zip)
┣exedit.anm
┣exedit.auf
┣exedit.aui
┣exedit.auo
┣exedit.cam
┣exedit.ini
┣exedit.obj
┣exedit.scn
┣exedit.tra
┣exedit.txt
┣lua.txt
┗lu51.dll
- http://rigaya34589.blog135.fc2.com/の右サイドバーからx264guiEx 2.xxをDLして保管用フォルダに解凍
- x264guiEx 2.xxの.exeを起動後,指示に従いインストール。インストールが完了しましたと出れば成功。どうしても失敗してしまう場合はhttp://rigaya34589.blog135.fc2.com/blog-entry-371.htmlを参考にしてください。
初期設定 見出しにジャンプ
- exedit.iniの[extension]セクションを以下のように変更(読み込めるファイルの拡張子を追加,.gifを動画ファイルとして設定)
[extension]
; 拡張子とメディアオブジェクトの種類を関連付けます
.avi=動画ファイル
.avi=音声ファイル
.mpg=動画ファイル
.mpg=音声ファイル
.mp4=動画ファイル
.mp4=音声ファイル
.flv=動画ファイル
.flv=音声ファイル
.dv=動画ファイル
.bmp=画像ファイル
.jpg=画像ファイル
.jpeg=画像ファイル
.png=画像ファイル
; gifを静止画でなく動く映像として入力したい場合は動画ファイルに変える
.gif=動画ファイル
.wav=音声ファイル
.mp3=音声ファイル
.txt=テキスト
; ここから追記
.mpeg=動画ファイル
.mpeg=音声ファイル
.mkv=動画ファイル
.mkv=音声ファイル
.wma=動画ファイル
.wma=音声ファイル
.wmv=動画ファイル
.wmv=音声ファイル
.mov=動画ファイル
.mov=音声ファイル
.ts=動画ファイル
.ts=音声ファイル
.m2ts=動画ファイル
.m2ts=音声ファイル
.m2v=動画ファイル
.m4a=音声ファイル
.flac=音声ファイル
- Aviutl.exeを起動
- ファイル→環境設定→入力プラグインの優先度の設定でL-SMASH Works File Readerを一番下に
- ファイル→環境設定→システムの設定
- 最大画像サイズ:4000x2000くらいに設定しておけば,大きな画像をD&Dしても読み込める
- 最大フレーム数:30fpsx10666秒(約3時間)=320000フレーム。3時間以上の動画を編集しない場合はデフォルトのままでおk。指定できる範囲は1024~8388607だが大きすぎると重くなる。
- キャッシュフレーム数:メモリにキャッシュするフレーム数。指定できる範囲は3~128ですが推奨は8~32。低スペでなければ32が良い。
- 再生ウィンドウの動画再生をメインウィンドウに表示する:便利。
- LargeAddressAwareを有効にする:64bitOSかつメモリが4GB以上ある場合はチェック(Aviutl.exeが使えるメモリを2GBから4GBに増やす)。エラーが出る場合は管理者権限でAviutl.exeを実行する。
編集ファイルが閉じられる時に確認ダイアログを表示する:誤爆防止。
関連ウィンドウ同士を移動時にスナップする:便利。
5. 設定→フィルタ順序の設定→ビデオフィルタの設定で1番目にサイズの変更,2番目に拡張編集を移動。
本体編集の使い方 見出しにジャンプ
編集用にavi変換する 見出しにジャンプ
mp4とかmkvだと編集時にカックカクになってしまうことがある。ちょっとしたカット編集なら構わないがある程度動画編集する場合はavi等に変換してから編集すると良い。
- Aviutlを起動
- ファイル→avi出力
- メインウィンドウに動画ファイルをD&D
基本 見出しにジャンプ
1.Aviutlを起動
2.メインウィンドウに動画ファイルをD&D
3.編集作業(詳しくは後述)
4.ファイル→プラグイン出力→拡張x264出力(GUI)Ex
5.ビデオ圧縮→OK
6.ファイル名,ファイルの種類(基本的に.mp4で良い)を指定して保存
リサイズする 見出しにジャンプ
設定→サイズの変更→お好みに
又は設定→クリッピング&リサイズの設定→お好みに
カット編集する 見出しにジャンプ
右2つのボタンで開始点と終了点を選択し,切り出すか削除してカット。
拡張編集の使い方 見出しにジャンプ
ショートカットキー 見出しにジャンプ
→
1フレーム進む
←
1フレーム戻る
Ctrl+Z
元に戻す
Ctrl+A
フレームを全選択
Home
最初のフレームに戻る
End
最後のフレームに進む
[
現在フレームを選択開始点にする
]
現在フレームを選択終了点にする
PageUp
システムの設定→任意フレーム数移動:Aだけ進める
PageDown
システム→設定の任意フレーム数移動:Aだけ戻る
Space
再生/停止
Ctrl+C
コピー
Ctrl+V
ペースト
S
分割
P
中間点
基本 見出しにジャンプ
- Aviutlを起動
- 設定→拡張編集の設定
- 拡張編集タイムラインに動画ファイルをD&D
- 編集作業
以降本体編集に同じ
リサイズする 見出しにジャンプ
- 設定→サイズの変更→求める解像度
- タイムラインの映像をダブルクリックして動画ファイル設定ウィンドウを出す
- 拡大率を変更し丁度良く収まるようにサイズを変更
- Twitterの推奨
カット編集する 見出しにジャンプ
- タイムラインのレイヤー上で右クリ→分割
- 要らない部分で右クリ→削除
- ドラッグして繋ぎ合わせる
※ここにショートカットキー一覧を載せておく
テロップを入れる 見出しにジャンプ
- タイムライン上で右クリ→メディアオブジェクトの追加→テキスト
- 空欄にテキストを入力(?とかはコピペしてください),フォントや色等をお好みに
- XYZ又は本体ウィンドウでドラッグして座標を決める
- サイズと拡大率を使って大きさを変える
※同様に図形等も置くことができる
エフェクトを付ける(対象オブジェクトのみ) 見出しにジャンプ
- オブジェクトの設定ダイアログの+をクリック→お好みに
エフェクトを付ける(全オブジェクト) 見出しにジャンプ
- タイムライン上で右クリ→メディアオブジェクトの追加→フィルタ効果の追加→お好みに
オブジェクトを動かす 見出しにジャンプ
- タイムラインのオブジェクト上で右クリ→中間点の追加
- オブジェクトの設定ダイアログでXをクリックし直線移動等を選択
- 座標や中間点の位置,数を変えながら目的の動きに近づける
応用編 見出しにジャンプ
インターレース解除 見出しにジャンプ
TS抜きした録画ファイルや,ビデオカメラで撮れた映像が縞々だった場合に,どんなハードやソフト,動画投稿サイトでも正しく再生できるようにインターレース解除を行いプログレッシブに変換する必要がある。
フィールドオーダーの詳しい話は長くなるので割愛。
- ファイル→開く→60fps読み込みにチェック
- インターレースな動画を選択して開く
- コマ送りしてみて,ガクガクとロールバックしなければおk。ロールバックする場合は設定→インターレースの解除→2種類のトップフィールドやボトムフィールドのところで逆の方にチェック→①からやり直し
- 設定→インターレースの解除→自動を選択
- avi出力してから編集するか,mp4等にエンコして終了。
QSVで高速エンコード 見出しにジャンプ
エンコードが遅いなと思ったらこれを使うとめちゃめちゃ感動する。ただグラボとか付けてるとちょっと面倒だったりするし,よっぽど設定を凝らないと圧縮率は落ちる。
- http://rigaya34589.blog135.fc2.com/blog-entry-704.htmlにてQSVに対応している場合,右サイドバーからQSVEnc + QSVEncCをDLして保管用フォルダに解凍。
- auo_setup.exeを実行(WindowsDefenderが脅威判定してしまう場合があるが,今回使用する所には問題ない),指示に従いインストール。
- ビデオ圧縮の画面で,先行探索付き固定品質(数字が大きいほど低品質低サイズ)がベストだが,CQPやVBRでも構わない。
動く画像ファイルgif形式のほうが都合の良い場合もある。
ffmpeg出力プラグイン 見出しにジャンプ
CUIに慣れている人や自動処理等に興味がある方,また普段ffmpegを使っている方にはオススメしたい。私は普段これを使っている。
ffmpegの使い方はこちらを参照
http://nyanshiba.hatenablog.com/entry/2018/02/03/071256
- http://rigaya34589.blog135.fc2.com/の右サイドバーからffmpegOutをDLして保管用フォルダに解凍,auoフォルダの中身をaviutlのpluginsにコピー。
- https://ffmpeg.zeranoe.com/builds/からOSのアーキテクチャに合ったShared(DLL版)をDLして保管用フォルダに解凍
処理概要 見出しにジャンプ
[通常]
- 音声出力
- 動画エンコ + 出力した音声を"-i"で読み込み
[自動2pass時]
- 1pass目の動画エンコ + 音声出力 (同時出力)
- 2pass目の動画エンコ + 出力した音声を"-i"で読み込み
動画設定 見出しにジャンプ
- 自動2passエンコード … 2回エンコードを回し、自動的に2passエンコードを行います。
- 転送色空間 … ffmpeg/avconvにどの色空間で映像データを渡すかを決定します。
- インタレ保持 … ffmpegOut.auoでのYUY2->NV12変換でインタレ用を使用するかどうかです。
インタレ保持エンコを行うためには、この設定だけでなく、
ffmpeg/avconv側のコマンドにもインタレ保持のコマンドを記述する必要があります。 - 出力拡張子 … 出力ファイルの拡張子を、ここで設定した拡張子に上書き・追加できます。
ffmpeg/avconvによるエンコードでは、さまざまな動画をエンコードできるため、
設定画面から拡張子を変更できるようにしました。 - エンコーダ優先度 … ffmpeg/avconvのCPU優先度の設定です。
- 一時フォルダ … エンコ中の動画ファイルの出力位置を変更できます。
最終的に渡されるコマンドライン 見出しにジャンプ
part-A~Eが順番に組み合わさって構成されます。
[part-A 映像入力情報]
パイプで映像データを転送
-f rawvideo
-s
-pix_fmt <「転送色空間」で設定されたもの>
-r
-i "-"
[part-B 音声入力] (音声出力が行われ、「音声を有効」にチェックが入っている場合)
-i "%{audpath}"
[part-C コマンド入力欄]
改行が削除された後、そのまま追加されます。
ここで-vcodecや-acodec、
さらに-b:v(映像ビットレート)、-b:a(音声ビットレート)を指定してしてください。
[part-D 自動2passエンコード] (自動2passが設定された時のみ)
-pass x
[part-E 上書きの強制(-y)と出力ファイル名]
-y
"%{savpath}"